内容が網羅的であるため入門書の事例テキストとして良書であると感じる。
また著者独自の解説もされており、オリジナリティを感じる。
事例が豊富であり、具体的であるため非常に分かりやすい。また近年の事例も豊富にあるため、実感として理解しやすい。特に事例は、タイトルにもある通り『失敗』に重きをおいているため、「どういった点がダメで、どうすればよかったのか」という解説がなされている。(もちろん対比として成功例も掲載がある)
製品に関してのマーケティング中心となるため、メーカーや製品開発に関係している人が本書の直接の読者となるであろう。
<こんな人におすすめ>
・製品企画担当者、マーケティング担当者
・経営者
・他部署から商品開発部、広告宣伝部、新サイトの企画を任された方
・なかなかヒットが生まれず悩んでいる担当者の方
・これからマーケティングを学ぼうとする学生の方
・直接ヒット商品には関係ないけれど、知的好奇心の強い方
<本書内で言及されているマーケティング理論>
・U&E
・イノベータ理論
・ダブルイノベータ理論
・価値観分類
・認知ベース行動
・プロダクトライフサイクル理論
・クープマンの目標値
・プロダクトコーン理論
・ブランディング
・コンセプトの純化
・意識のブリッジ理論
・Lて山スラッシュ理論
・差別優位性
・DCCM理論
・守りと攻めの戦略
<目次>
第1章 知られなければ「ない」のと同じ
1-1 「自分が知っているから他人も知っている」と勘違いする ~U&E
1-2 インパクトだけを求めて、理解してもらうことを放棄する ~U&E
第2章 生活者を見誤る
2-1 ヒット商品を最初に買った人たちを捨て置く ~イノベーター理論
2-2 人を属性で表面的に判断してしまう ~価値観
2-3 ゲームのルールが変わったことに気づかない ~ダブルイノベーター理論
2-4 事実は事実であることに疑いを持たない ~認知ベースの行動理論
第3章 市場を見ずに突っ走る
3-1 「時代に早すぎた」は「単なる戦略ミス」 ~プロダクトライフサイクル理論:差別化
3-2 生活者の変化に気づかない ~プロダクトライフサイクル理論:ベネフィット訴求
3-3 自分を弱者と認めたくない ~クープマンの目標値
第4章 商品の健康診断をサボる
4-1 訴求すべきポイントを勘違いする ~プロダクトコーン理論
4-2 商品にロゴをつければブランドだと信じて疑わない ~ブランディング
4-3 あれも欲しい、これも欲しいとタダをこねる ~コンセプトの純化
4-4 「らしくない」ことをする ~意識のブリッジ理論
4-5 有望株の芽を摘む ~Lて山スラッシュ理論
第5章 競合商品にも顧客がいることを忘れる
5-1 自社商品ですら区別がつかない ~差別優位性
5-2 「市場が大きいから売上も大きい」の勘違いを犯す ~DCCM理論
5-3 守るべきなのに攻める、攻めるべきなのに守る ~守りと攻めの戦略
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