書評 NETFLIX コンテンツ帝国の野望―GAFAを超える最強IT企業― ジーナ・キーティング 新潮社 2019年

ビジネスモデル・企業分析

今やコンテンツ配信はもちろん、制作も含め動画ストリーミングサービスの王者と言ってよいNETFLIX。そんなNETFLIXの起業からストリーミングサービス初期までの軌跡を描いた本作。

本作の特徴はジャーナリストである著者がNETFLIX、ブロックバスター等関係者に取材をしてノンフィクションとしてまとめたものである。そのため様々な視点から描かれている。また構成は物語形式となっている。なので、客観的でありながら読みやすくどんどん読み進めていくことが出来る。もちろんNETFLIXが主人公となるため、NETFLIXに肩入れはしてしまうが、勧善懲悪ではない(ビジネスなので当然と言えば当然なのだが)ので、全体を俯瞰的に見ることが出来る点が面白い。

話の中心はライバル企業であるブロックバスターとの熾烈な戦い。と言っても当初はネズミがライオンに戦いを挑むがごとく、NETFLIXはブロックバスターに全く相手にされなかった。まず圧倒的にブロックバスターの規模が大きかったのだ。ブロックバスターは日本では馴染みが無いかもしれないが、例えて言えばTSUTAYAのようなものと想像してほしい。そんな巨人に、生まれたばかりのDVD宅配企業が戦いを挑んだのだ。(NETFLIXは企業当初DVD宅配レンタルサービス企業だった)

折りしも、ビデオテープからDVDに切り替わろうかという時代であり、またインターネットの台頭、さらにチャレンジしていく企業風土などが相まって、NETFLIXは着実に成長していくことになる。特徴的であり、先進的であったのが『レコメンド機能』。(アマゾンのおすすめ機能が有名であろうが、TikTokなどでもAIがユーザーの行動から動画をおすすめしてくる。)今や当たり前の機能かもしれないが当時から実装しているあたりが躍進の鍵の一つであろう。

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