書評 武器としての組織心理学 山浦一保 ダイヤモンド社 2021年

リーダーシップ・コーチング

【こんな人におすすめ】
組織に属している全てのビジネスパーソン、特に人を動かす立場の人(リーダー、マネージャーなど)

本書は、世界中の最先端の研究と、組織心理学者として取り組んできた著者の研究を基に、ビジネスパーソンにとって重要な『良好な人間関係を構築する方法』を、科学的な視点からひもといた書籍である。もう少し具体的に言うと、「科学的・客観的な視点から効果的なリーダーシップとは何か?」を考えていく内容である。本書で言う科学的な視点とは、心理学や脳科学、集団力学などの見地を指す。

本書を読むメリットとしては、私たちの心理や行動の傾向を学び知っておくことで、余計な人間関係のトラブルに巻き込まれることを予防できることが挙げられる。また、組織で人を動かすマネージャーの立場にある人にとっては「強力な武器」にもなる。

人間関係において重要なことは、ネガティブな関係を極力減らすと同時に、ポジティブな関係を構築することである。本書では、組織に蔓延するネガティブな関係をどのようにポジティブで有益なものに変えていくかを解説している。そのためテーマを次の5つに絞っている。『妬み』『温度差』『不満』『権力』『信用(不信感』。これらネガティブな要素が見えない空気となって、組織を支配しているからである。

【本書の目次は下記の通り】
はじめに リーダーのための最強の教養「組織心理学」
・人間関係の構築が難しくなっている時代だ
・能力が高い人だけを集めれば、チームを強くできる?
・ほめ言葉は金銭報酬に匹敵する!?
・組織心理学は、自分の身を守り、人を動かす武器になる

■第1章妬みを中和し、モチベーションを引き出せ
・筋が通らない行動は「感情」のせい
・最も厄介な感情は「妬み」である
・妬みを中和し、有効化する
・妬みを買った人がとるべきアクション

■第2章「チームの温度差」を埋めよ
・「チームの温度差」の正体――リーダーを悩ます2つの凸凹
・温度差を埋めるアクション1:あいさつの影響力
・温度差を埋めるアクション2:ベクトルを合わせる
・温度差を埋めるアクション3:情報共有を見直す
・温度差を埋めるアクション4:人間関係の凸凹を埋める
・リモートワーク時代のリーダーの役割

■第3章「隠れた不満」を見つけ、有益化せよ
・上司への不満は、常に隠蔽されている
・不平不満を利用する
・不満をパフォーマンスに変える4つの環境戦略
・モチベーションを上げるコミュニケーション戦略

■第4章権力と賢く付き合え
・権力が人を変える
・上方向への影響戦略

■第5章「失った信用」を取り戻せ
・信頼関係はあっという間に崩壊する
・信頼関係を修復するアクション1:謝罪する・赦す
・信頼関係を修復するアクション2:相談を持ちかける

おわりに 関係性を重視するリーダーシップ

【ポイント】
組織に所属するビジネスマン(多くのビジネスマンが該当するであろう)ならば、どの項目も有益となる内容である。中でも行動としてすぐに出来、かつ効果的であろう内容が第2章で語られている『あいさつの影響力』ではないだろうか?あいさつであれば、誰にでも、そして今からでも行うことが出来る。あとは『するか・しないか』しかない。それでいて効果は絶大。これはもうやるしかない!

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