書評 バカの研究 ジャン=フランソワ・マルミオン編 亜紀書房 2020年

自然科学

タイトルだけ聞くとふざけた内容の本のように感じるが、本書はいたって真面目な本である。執筆陣もその道のプロフェッショナルばかりで、一流科学者、名門大学教授、その道のスペシャリストが自らの専門知識を駆使して至極まじめに『バカ』を考察している。

フランスでベストセラーになった書籍の日本語訳。原書では30人の執筆者が参加しているが、日本での出版に際して、フランスの政治、歴史、精神医学界、フランス語の語源に関してテーマなど日本では分かりにくい記事は一部割愛されている。

【目次は以下の通り】
●バカについての科学研究(セルジュ・シコッティ/心理学者)
●知性が高いバカ(イヴ゠アレクサンドル・タルマン/自然科学者)
●迷信や陰謀を信じるバカ(ブリジット・アクセルラッド/哲学者)
●バカの理論(アーロン・ジェームズ/哲学者)
●人間は決して合理的な生き物ではない(ジャン゠フランソワ・マルミオン/心理学者)
●認知バイアスとバカ(エヴァ・ドロツダ゠サンコウスカ/社会心理学者)
●二とおりのスピードで思考する(ダニエル・カーネマン/ノーベル賞経済学者)
●なぜ人間は偶然の一致に意味を見いだそうとするのか(ニコラ・ゴーヴリ/数学者)
●バカのことば(パトリック・モロー/編集者)
●感情的な人間はバカなのか? (アントニオ・ダマシオ/神経科学者)
●バカとナルシシズム(ジャン・コトロー/精神科医)
●フェイクニュースを作っているのはメディア自身だ(ライアン・ホリデイ/メディア戦略家)
●SNSにおけるバカ(フランソワ・ジョスト/哲学者)
●インターネットのせいで人間はバカになる? (ハワード・ガードナー/認知科学者・教育学者)
●バカとポスト真実(セバスチャン・ディエゲス/神経心理学者)
●バカげた決定を回避するには? (クローディ・ベール/人間科学ジャーナリスト)
●なぜバカみたいに食べすぎてしまうのか? (ダン・アリエリー/行動経済学者)
●動物に対してバカなことをする人間(ローラン・ベーグ/社会心理学者)
●子どもとバカ(アリソン・ゴプニック/哲学者)
●夢とバカの関係(デルフィーヌ・ウディエット/脳研究者)
●バカは自分を賢いと思いこむ(ジャン゠クロード・カリエール/シナリオライター)
●バカなことをした自分を許す(ステイシー・キャラハン/心理学者)
●知識人とバカ(トビ・ナタン/心理学者・人類学者)

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